私のケース。
現在働いている会社で、私は自身の精神疾患や発達障害をオープンにして就労している。
障害者手帳を取得した時から、私の場合”もう隠すのは限界だ”と感じた。
誰かにどう思われることを考えるよりも、自分が持っている特性や疾患を隠したり補い続けることが私にとっては重荷だったからだ。
そういう考えに至ったのは、私側から見て、私を精神疾患や障害だけで判断している人が、私の周り、とりわけ深く関わっている人たちの中にいないように感じていたからだ。(幸い対話ができる人たちばかりだったからかもしれない。)
多くの人が同じような状況にいるわけではない。
けれど、オープンにしたからと言ってオールオッケーになるわけではない。
自分の弱さを知って、早めに相談する。対策をとる。我慢し続けない。
できることはする、試してみる、観察する、無理をしないようにする、今のところこれが一番精神的に多少の波があっても破綻してしまわない対策かもしれない。
4月末、少し大きめの波が来た。
軽症状態が続き、イライラし頭が多動で夜眠れなくなり始めた。家族もその様子に心配し始めた。
担当の臨床心理士の先生によると、双極性障害は躁状態になると歯止めが効きにくくなるということだった。鬱状態の時は薬や認知療法などで対策が取りやすい場合が多いが、一度躁転すると薬もすぐには効かないようだ。
社会的に逸脱した行動を起こしやすいのも躁状態の時でトラブルを起こしやすいのもまた同じである。
実際、私が問題行動を起こすのは決まって躁転の場合だった。
予防の意味で、新たに薬を処方してもらった。
そして、職場の上司に相談するのにどうしたらつたわりやすいのか考えた結果、アンブレさんの資料作成ツール「トリセツ」を使用させていただいた。
このような資料がいくつかの項目をチェックしたり、問に答えると作成できる。
私はそれぞれ、双極性障害、ADHD、ASDについて作成し、印刷して上司に提出した。
もともとリモートワークが認められていたり、裁量制で比較的場所や時間にとらわれない考え方の社風だったり上司であったが、話をする時間をもてたのは、より自分を詳しく知ってもらうきっかけになったと感じる。
通院の話や、カウンセリング、処方箋の話(私にとっては日常的なこと)をしやすくなった。もちろん、いつも疾患や障害の話をしているわけではないが、いざとなった時に、私は周りが知っているか知らないかで状況が変わってくると思う。
そういった面で、自分の疾患や障害に対して相談できる人(会社に限らず)に、説明しておく、困りごとを伝えておくのは無理をしすぎない対策かもしれない。
辛い時、苦しい時、本当の意味で自分を助けられるのは自分しかいない。
声を上げるのも、環境や立場がなかなか許さないかもしれない。
それでも、自分を知ることの一歩は大きいと感じる。
どうしたら自分を助けられるか、自分をもっと理解できるか、考えている人は、その一歩を手助けしてくれる手段の一つがこの「トリセツ」なのかもしれない。そう感じた。